今回は私が経験した骨折について書き留めたいと思います。
人生初の骨折です。骨折箇所はというと左手の「舟状骨」という骨です。
舟状骨は骨折でもしない限り、あまり詳しく知らない人が多いと思います。
そんな舟状骨骨折について整形外科のお医者さんに聞いたお話を
自分なりに記録をしていきたいと思います。
舟状骨とは?
そもそも舟状骨とはどんな骨なのか、説明したいと思います。
舟状骨とは手首を曲げるときに歯車のような役割をしている湾曲した骨です。
舟のような形をしていることからその名がついているようです。
これは健康な骨のレントゲンです。 赤丸の部分が舟状骨です。
ちょうど親指の付け根の位置ですね。骨折をしていると黒い線が入ります。
舟状骨は人体の骨の中でも血流が特に悪く、最も治りにくい骨のひとつです。
舟状骨骨折の要因
- 転んで手のひらを地面に強く打ち付けた
- スポーツ中に転倒し、手のひらを地面に強くついた
- 高所から落下した際に手のひらで受け身をとった
- 交通事故等での手首負傷
- 犬の散歩中に強くリードを引っ張られ手首負傷
舟状骨骨折の要因としては、人それぞれで多様ですが、最も多いのが日常生活やスポーツでの手のひらをを強く地面につく行為です。別名、スポーツ骨折・ボクサー骨折とも呼ばれるようです。
私の場合は仕事中に2~4mくらいの高所からの落下による負傷でした。労災です。
舟状骨骨折の症状
舟状骨を骨折していると以下のような症状が見られます。
- 手首を大きく背屈させると痛みが生じる
- 手をついて立ち上がろうとすると痛みが生じる
- 解剖学的嗅ぎタバコ入れに圧痛を感じる
「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」は親指付け根にある水を貯めれる凹んだところですね。
舟状骨の治療法
治療法は骨折の状態などによって方法に違いがあります。
- ギプスによる固定
- チタンスクリューによる手術固定
- 手の甲の骨(第二中手骨)からの移植術
- 腸骨(骨盤の骨)からの移植手術
1.ギプスによる固定
舟状骨骨折と早期に診断された場合、ギプス固定での治療で完治します。固定期間は6週間に及びます。固定できる条件として骨折箇所の骨が自力癒合できる場所であるか、骨同士のズレがないかで判断できます。ズレに関しては1mmでもズレていればスクリューによる手術が必要になります。ズレたまま固定してしまうと骨が元通りになりませんよね。ギプス固定だとお風呂が不便でした。私は専用の腕用の防水カバーを購入し、使用していました。
2.チタンスクリューによる固定
上記で記した通り、舟状骨骨折にズレがあった場合、スクリューによる固定手術が必要になります。 スクリューとは10mm程の小さな金属のネジです。手を切開した後、骨のズレを修正しスクリューで骨同士を固定します。ギプスによる固定が6週間と長期間に及ぶことからスクリューによる手術を勧める整形外科医さんもいるようです。高齢者での長期固定は関節が固まってしまい、リハビリも大変になります。スポーツや仕事面でも早期の社会復帰が期待できます。スクリューは術後取り除かないのが一般的です。チタンスクリューは空港の金属探知機にも反応しません。
3. 手の甲の骨(第二中手骨)からの移植術
私が行った手術法です。移植術は骨折箇所が偽関節化してしまった場合に適用されます。偽関節というのはその名の通り、折れた骨同士が付くことなく偽の関節となってしまったものです。この場合、自然治癒で回復することは望めませんので移植手術が必要となります。第二中手骨とは人差し指を支える手の甲の骨です。私は1/4程を摘出し、折れた舟状骨の間に移植しました。そのままだとズレてしまうのでスクリューでの固定も行っています。また、私の場合は血流の悪い遠部での骨折だったため、血管付きの骨を移植しています。血管を持ってこないと骨が付かないそうです。血管を固定しておくため、チタン製の小さなクリップも使用されています。
4. 腸骨(骨盤の骨)からの移植手術
こちらも偽関節化した場合の移植術になります。骨折した舟状骨が壊死していたり、舟状骨を削って血流がない場合に腸骨(骨盤の骨)を10mm角程摘出し、舟状骨に移植します。上記3項の移植とは違い、腰部での骨折断面積が大きい場合こちらの方法になります。私の場合は骨の量が第二中手骨だけでは足りない場合、腸骨からも移植が必要でした。そのため全身麻酔での手術でした。骨盤からの移植手術を行った場合は痛みで1週間~2週間は歩けなくなります。入院が必要です。
偽関節を放置しておくと
舟状骨偽関節を治療をせずそのまま放置していると慢性的な痛みがでます。また、折れた骨が骨吸収されて溶けて無くなってしまうことがあります。これは壊死した骨を体が異物とみなしてしまうからです。その結果、無くなってしまった骨のスペースにその他の骨が押し寄せてきて手の変形を引き起こします。この場合も加齢と共に痛みが生じてきます。
特に注視してほしい事
私の実体験から受傷されている方に特に注視して欲しいことがあります。
それは医師による誤診です。私は初診の際、手首の痛みを訴えましたが捻挫による痛みであると診断されました。その後、3週間ほど自宅で手首をストレッチして捻挫の痛みを取ろうとしていました。しかし、痛みがなかなか取れずに再度、整形外科を受診しました。その日もレントゲンを撮ってもらいましたが異常なしと判断されました。医師から、放っておけば治るよ。心配ならMRIを撮ろうか。と言われMRIを希望しました。そこでやっと舟状骨の骨折が確認されました。その時はすでに偽関節化が進行していたのだと思います。医師も人間なので誤診することもあると頭に入れておきましょう。私は失敗しました。舟状骨骨折はレントゲンでは発見しづらく、CTやMRIなどの高精度な撮影が必要です。違和感や心当たりがある場合は必ずMRIを希望しましょう。私のように手遅れになる可能性がありますので。 それからもうひとつ、偽関節化している場合はギプス固定しても骨が付く可能性はほぼありませんのですぐに手術を希望するか、固定は拒否したほうがいいかもしれません。固定期間が長くなると手首が固まり可動域が減少してしまいます。さらに今回の私の手術は手術当日に手を切開すると骨折部の半分が付いていたようです。もしかしたら手術しなくても治っていたのかも。そう考えると手術は本当に慎重な判断が必要です。医師に言われたからといって全てを鵜呑みにしてはいけないのだと感じました。術後の固定期間も併せて合計4か月間となり、リハビリがとても大変です。100%元通りの手首可動域復活は難しいと言われました。術後は握力低下・神経も引っ張るので手の痺れが残ります。どんな病気・ケガについてもそうですが、本当にくどいほど良く外科医の先生と話し合って判断をしましょう。セカンドオピニオンも有効です。
入院の際にあると便利・有意義なもの
- Bluetoothイヤホン(ヘッドフォン)
- 好きな本・雑誌
- スマホ充電器
- デオドラントシート
- アメやガム、ちょっとしたお菓子
入院の際には治療に専念にすべきですが、どうしても時間を持て余します。
私は大部屋でしたのでヘッドフォンをスマホに繋いでアマゾンプライムやYouTubeを楽しんでいました。ほとんどスマホがあれば暇は潰せますね。本は手のケガでギプスをしていましたので読みづらくてほとんど読みませんでした。気分転換したいときにデオドラントシートやお菓子があるといいかもしれません。術後はお風呂も入れませんから。
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